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中国経済は大きな転換期を迎えている

2008-03-08

2008年3月
「LT会」会報(第8-03号、総28号)
中国経済は大きな転換期を迎えている
―――華南地区の多くの香港台湾企業が倒産に直面か?―――
配信者:上海良図商務諮詢有限公司「LT会」会員各位
平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

今年は中国の改革開放30周年目で、北京オリンピック開催の年でもある。過去30年間、中国経済は概ね順調に発展してきているが、ここに来て、世界の工場中国は大きな転換期を迎えているのではないかと当社は見ている。

07年7月1 日から、中国政府は一部製品の輸出税金還付率を下げ、8月に紡績、家具等1853種類の商品を輸出制限品目に指定、さらに12月には589種類の商品を輸出制限品目に追加指定したことにより、加工企業を選別し、ローテック企業は締め出し、と言わんばかりの状況である。

08年1月からの労働契約法の施行により、今まで労働契約を締結していなかった企業は労働契約の締結により、未払いであった社会保険料を支払わなければならず、閑散期の従業員解雇が不可能となった。更に中国の物価上昇に呼応した各地域の最低賃金の引き上げにより、ワーカーのコストの大幅な上昇となった。

07年度来、人民元為替レートの上昇が加速し、輸出加工企業にとって、受け取った輸出代金の目減りで利益率が大幅に悪化している。

華南地区では地方政府の加工貿易に対する政策転換でローテック企業は電力の配分の制約を受けたりといった冷遇を受け、工場の正常操業ができなくなったケースがある。

2月19日シンガポールの<連合早報>によると、これから数ヶ月の間に珠江デルタにある約7万社の香港系企業が会社を維持できなくなり、倒産の危機に直面する会社は約1万4千社に上るだろうと推定されている。

香港工業総会副主席孫啓烈氏の去年12月時点での話によると、珠江デルタ地域ではこれから二年間に約1万から1万5千社が倒産または吸収合併されると予測している。

 <中国経営報>の報道によると、今年旧正月前、珠江デルタ地域で大量の台湾系、香港系企業が倒産し、中には夜逃げした企業も多数ある。珠江デルタ地域の表に出ない倒産閉鎖がすでに出始め、深圳の竜崗区では、去年だけで300企業が倒産閉鎖し、多くの企業が生産縮小する中で、業界内の有識者の予測では今年第二四半期でこの傾向が激化するのではないかとも噂されている。

もう一つ注意深く見ていかなければならないのは、中国経済成長の大幅な鈍化である。中国政府は08年度の中国GDP伸び率は8%、物価上昇率は4.8%という目標を設定しているが、市場の予測では08年度の中国の物価上昇率は6%以上となっているため、実質的な中国の経済成長率は2%以下になる可能性すら出ているのである。 以上